海外旅行の際に、万が一に備えて多くの人が保険に入ります。では、国内旅行ではどうでしょうか。国内の日帰りバスツアーのパンフレットにも任意保険への加入を勧めるページがあるのを見たことがある方もいることでしょう。
どうして国内、それも日帰りなのに保険への加入が勧められているのか、この記事ではおすすめされる理由をご紹介します。
バスツアーで関わる保険には大きく分けて2種類の保険と1種類の特別補償があります。バスツアーは旅行会社側で企画していますので、安心して旅行を楽しむことができるように最大限の努力をしています。しかし、どうしても避けられないトラブルというのは発生してしまいます。
万が一ツアーの参加者に何かあった際に、旅行会社はその補償を行います。これは旅行業約款の特別補償規定に定められており、申し込んだ旅行会社によって補償金額は異なります。この特別補償はカバンなどの所持品も対象となっています。
例えば、カバンであれば「ツアー中に何かにひっかかり大きく裂けてしまった」場合はカバンとしての機能が失われているので破損扱いになり、補償を受けることができます。しかし、「表面に傷ができた」程度の場合は機能が失われたとは考えられにくく、補償対象外となります。
また、紛失の場合旅行会社側の過失が認められた場合は補償対象ですが、置忘れなど参加者の過失の場合は補償対象外です。また、これらの補償が受けられるのはツアーの最中に起きたトラブルだけです。日帰りのバスツアーであれば、出発時のバスに乗り込んだ時点から、ツアーの行程が終了しバスから降りる時点までです。
実際にバスを運転するのは旅行会社ではなく、旅行会社が契約しているバス会社です。交通事故などのトラブルによりツアー参加者や、事故相手への賠償、バス自体の損壊などに備えた保険はバス会社が加入しています。しかし、バス会社によっては任意保険への加入を行っておらず、事故の規模によってはそれに見合っただけの補償が受けられないという可能性もあります。
これはバス会社によって違い、参加者自身がそのバス会社がどのような保険に加入しているのかを調べるのは難しいでしょう。もちろん、バス会社によっては保険の種類を公開しているところもあります。2013年12月から、貸し切りバスの事業者の限度額は対人の場合無制限と定められました。
対物は制限がある場合もあります。自然災害による事故や、バス側に過失のない追突された事故で、追突してきた側が無保険の場合は適応外などの条件があります。また、バス会社の加入している保険で補償されるのは、バスに乗っている間の事故だけです。
つまり、ツアーで観光中に起こった事故に対しては対象外となってしまいます。また、バスに乗っている間に起こった事故のうち、シートベルトをしていなかったため発生したものや、ステップを踏み外すことによって怪我をしたというような参加者側の過失が大きいものについては対象外となります。
ツアーのパンフレットに記載され、加入を勧められている保険はこの保険のことです。
これは国内旅行傷害保険で、加入は任意のものですので、他の種類の保険と違い強制的に加入させられるものではありません。
この保険に加入していると、例えばバスに乗っていない観光中に交通事故にあってしまった、他の参加者など他人に怪我を負わせてしまったといった際の補償を行ってくれます。バス会社が加入しているよりも、より広い範囲での補償を行ってくれ、補償額も高くなる傾向にあります。
また、この保険の補償範囲はツアー参加中だけにとどまらず、「自宅を出発してからツアーが終了して自宅に帰るまで」という期間です。例えば自宅からツアーに参加する際に遅刻しそうになって焦った結果事故を起こしてしまった、ツアーから帰宅する際に疲労によりトラブルに巻き込まれてしまったといった場合の補償も行ってくれるのがこの任意保険の強みです。
国内旅行の任意保険については、加入しておいてよかったという意見と加入しなくてよかったという意見の両方があります。
例えば必要ないという意見については、せっかく安価なバスツアーに参加しているのに、保険料を支払うのはもったいないという意見や、クレジットカードに国内旅行傷害保険が付帯しているという意見があります。
もちろん、バスツアーにおいてはツアー会社による特別補償とバス会社が加入する保険の2つは加入しています。特にバス会社の保険が手厚い補償を行ってくれるのであれば、任意保険の加入は必要ないという意見もあながち間違っているとはいえません。
ですが、レジャー系のバスツアーであれば加入しておいた方がよいかもしれません。例えば富士山に登る、ダイビングをするといった海や山へ向かうツアーでは、バスを降りて活動をしている時間が長くなりますし、スキーやスノーボードといった冬のレジャーは怪我に加え万が一の際に遭難というリスクもあります。
救助が必要になった場合はレスキューなどの費用も必要になってしまいます。これらの場合は特に安心を買うという意味でも保険に加入しておいても損はしないでしょう。また、子供連れで参加する際も万が一に備えて任意保険に加入しておいた方がよいです。
子供は大人に比べて怪我をする頻度が高い傾向にあります。美術館などの展示品があるところを観光するツアーであれば、子供が展示品に触れようとするかもしれません。それらの万が一に備えるというのは保護者の責任ともいえます。
国内旅行傷害保険は、日帰りつまり1日単位で加入可能なものから最低日数が1泊2日のものがあります。
保険料は安いもので200円程度、補償が手厚いもので1000円程度で加入することができます。傷害により死亡した場合の補償料や、入院あるいは通院が必要になった場合どのくらい補償を受けることができるのかで必要だと考えられる額のものに加入するとよいでしょう。
補償が手厚いものになると、留守中に自宅の家財が盗難にあってしまったという場合の特約などがついているものがあります。また、注意しなくてはならないのが加入可能な年齢です。国内旅行傷害保険では加入可能な年齢が定められているものがあり、被保険者つまり参加者の年齢によっては加入できない場合があります。
家族でツアーに参加する場合は注意が必要な部分です。